楽器に対するいくつかの考察2、雨と輪郭
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外は雨。重苦しい空気と暗さに気が滅入るが、雨の音を消すように、君の奏でる音が響く。 僕は窓際に座り、部屋中に散乱する絵画を横目で見ながら、半分眠っていた。 雨の日は輪郭がぼやける。眠いせいでさらに、世界は混ざって見える。 どこからどこまでが空で、どこからどこまでが海なのか、どこからどこまでが人で、どこからどこまでが道なのか。 どこからどこまでが僕で、どこからどこまでが君なのか。 普段ははっきりしているようだけれど、いざしっかりその境界を見つめようとすると、それはとても難しいことだと気付く。 僕と君が混ざり始めたのはいつだっただろう。 そしてこれからどこまで混ざっていくんだろう。 どこまで混ざれるんだろう。 君の演奏が終わると、雨の音が大きくなった。 |