楽器に対するいくつかの考察2、雨と輪郭




外は雨。重苦しい空気と暗さに気が滅入るが、雨の音を消すように、君の奏でる音が響く。
僕は窓際に座り、部屋中に散乱する絵画を横目で見ながら、半分眠っていた。
雨の日は輪郭がぼやける。眠いせいでさらに、世界は混ざって見える。
どこからどこまでが空で、どこからどこまでが海なのか、どこからどこまでが人で、どこからどこまでが道なのか。
どこからどこまでが僕で、どこからどこまでが君なのか。
普段ははっきりしているようだけれど、いざしっかりその境界を見つめようとすると、それはとても難しいことだと気付く。
僕と君が混ざり始めたのはいつだっただろう。
そしてこれからどこまで混ざっていくんだろう。
どこまで混ざれるんだろう。

君の演奏が終わると、雨の音が大きくなった。
それに比例して、君の輪郭がますますぼやけていく。僕の輪郭はもう感じられない。











2009/05/19