cut out




自分は強くなったのかもしれないと、不意に思った。すっと青空のきれいな日。

何かが変わった気がするのは何故?私はその理由を痛いくらいに知っていて、少しだけ自分を嫌いになって、ほんの少しだけ好きになる。



今までの日常から、その部分だけを切り取って捨ててしまう行為は、何度も私を弱くして求めることを増やしてきた。ずっとずっと求めてきて、手に入る前に求めるものがまた増えて、手に入りそうだったことも逃げていって、私は結局ずっと空っぽで。

どんな瞬間にもさくさくと日常からいろんなところを切り取って、そうしないといけない気がしたし、そうしないと日常から追い出されてしまいそうだった。



(自分を作ることができなくて、いつも私は私だと強がる。)



触れることが、私の全てで、隣に誰かいることだけが安心だというのは、いつのまにか私の中の規則になっていた。でも、顔を見るのは苦手で、だから背の高い人に抱きしめられたり、後ろからついていったり、目をつむってキスをすることが好き。隣で眠れるほど安心できる人が欲しくて、欲しくて、そのせいでまた私はさくさくと、いろんなところを切り取った。



ふと気付くと、

「もういいよ。」

と言っていた。不思議に思う。手に入りそうだったものを、自分から離して、私は平気そうにしていたから。

いろんな言葉が、私の言いたいことを表すにはつたなすぎて、何故だかばかばかしくなっていた。窓の外は青い空が広がっていて、嫌だな、と思う。

また切り取るものが増えた。それも、今までよりずっと量がある。

(ずっと子供のままでいたい。)



ひとしきり泣いて、きっとそれは想いが思い出になってしまったことへの涙で、ベッドの上。なんとか頼る人を見つけてしまう自分は、嫌だけど、見つけてしまって落ち着く。たとえば、ふと思うのは、思い出すのは、自分のものじゃないベッドの上、誰かの隣で寝ている自分とか。

実感がわかない、なんてこともないし、まさか本当は好きじゃなかったなんてことも、ありえない。

あつかましくも思うのは、きっとまた、いつか、一緒になるときが来るんじゃないかっていう、傲慢な期待。

今度こそ、何もかもを切り取らないと、だめかな、とも。さくさくと、音を立てて。少し、強くなった気がして、少し、嫌な女になった気がして、それから、少し、自分を嫌いになって、本当に少しだけ、好きになった。











2006/01/02