cut out
|
自分は強くなったのかもしれないと、不意に思った。すっと青空のきれいな日。 何かが変わった気がするのは何故?私はその理由を痛いくらいに知っていて、少しだけ自分を嫌いになって、ほんの少しだけ好きになる。 今までの日常から、その部分だけを切り取って捨ててしまう行為は、何度も私を弱くして求めることを増やしてきた。ずっとずっと求めてきて、手に入る前に求めるものがまた増えて、手に入りそうだったことも逃げていって、私は結局ずっと空っぽで。 どんな瞬間にもさくさくと日常からいろんなところを切り取って、そうしないといけない気がしたし、そうしないと日常から追い出されてしまいそうだった。 (自分を作ることができなくて、いつも私は私だと強がる。) 触れることが、私の全てで、隣に誰かいることだけが安心だというのは、いつのまにか私の中の規則になっていた。でも、顔を見るのは苦手で、だから背の高い人に抱きしめられたり、後ろからついていったり、目をつむってキスをすることが好き。隣で眠れるほど安心できる人が欲しくて、欲しくて、そのせいでまた私はさくさくと、いろんなところを切り取った。 ふと気付くと、 「もういいよ。」 と言っていた。不思議に思う。手に入りそうだったものを、自分から離して、私は平気そうにしていたから。 いろんな言葉が、私の言いたいことを表すにはつたなすぎて、何故だかばかばかしくなっていた。窓の外は青い空が広がっていて、嫌だな、と思う。 また切り取るものが増えた。それも、今までよりずっと量がある。 (ずっと子供のままでいたい。) |